○かつらぎ町議会基本条例

平成28年6月23日

条例第28号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 議会・議員の活動原則(第3条・第4条)

第3章 町民と議会の関係(第5条)

第4章 町長と議会の関係(第6条―第9条)

第5章 議会運営と議会機能の発揮(第10条―第13条)

第6章 議会活性化の推進(第14条・第15条)

第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第16条―第19条)

第8章 議員の身分・待遇及び政治倫理(第20条―第22条)

第9章 最高規範性及び見直し手続(第23条―第25条)

附則

地方分権一括法の施行以来、国と地方の役割分担の明確化が図られ、地方公共団体は自らの判断と責任により、地域の実情に沿った行政を展開していくことが期待されています。

議会は、二元代表制の一翼として、町民の信託を厳粛に受け止め、政策形成及び政策の実施過程に多角的に参画し、その要所で重要な意思決定が求められています。

かつらぎ町議会(以下「議会」という。)は、平成17年10月の町村合併後、全国町村議会議長会の「地方分権時代に対応した新たな町村議会のあり方についての提言」に基づいて、本格的な議会の活性化を進めてきました。以来10余年の間、議員間での率直な意見交換や町内各種団体との懇談を通じて、議会の役割について相互の理解を深めることができました。その一つとして、平成26年より県下に先がけて通年議会を実施しています。

通年議会を通じて、町政の主人公は町民であるとの認識のもと、議員自らが政策立案能力を高め、地方自治の本旨である町民の福祉の増進に努めているところです。また、町民の代表機関として、議会のあるべき姿を示すためにも議会基本条例が必要であるとの共通認識に至りました。

憲法と地方自治法を遵守しながら、独自の議会運営ルールを策定し、議員の自己研さんと資質の向上に努め、町民とともに歩む議会を築くことを決意し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会運営の基本的事項を定めることにより、町民参加を基本とする開かれた議会を実現し、かつらぎ町(以下「町」という。)の豊かなまちづくりに貢献することを目的とする。

(議会の役割)

第2条 議会は、町民を代表する公選の議員をもって構成され、政策の提案、行政運営に対しての監視を行い、町の意思決定機関であることから、執行機関と独立・対等の関係に立ち、相互に緊張感を保ちながら協力して町政の運営に当たる。

第2章 議会・議員の活動原則

(議会の活動原則)

第3条 議会は、町民主権を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重んじた議会を目指し、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 町民本位の適正な町政運営が行われているか、監視、批判及び評価をする。

(2) 町民の多様な意見を的確に把握し、町政に反映させるための活動をするとともに、町民のための政策の立案及び提言を行う。

(3) 町民にとってわかりやすく開かれた議会運営に努め、議会への多様な町民参加を保障するとともに、議会として議案の審議に用いる資料等を提供するなど、町民の傍聴の意欲を高める議会運営に努める。

(4) 議会が議論の場であることを十分に認識し、意思決定に当たっては、議員間の自由闊達な議論を重んじ、論点及び争点を明らかにするよう努めなければならない。

(議員の活動原則)

第4条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議会が議論の場であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議を重んじなければならない。

(2) 町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、自己研鑽や資質向上に努め、町民の代表としてふさわしい活動に努めなければならない。

(3) 町民全体の奉仕者として、福祉の向上を目指した活動に努めなければならない。

第3章 町民と議会の関係

(情報公開と町民参加)

第5条 議会は、町民に対して議会の活動に関する情報公開を行うとともに、情報の共有を推進し、説明責任を果たさなければならない。

2 議会は、本会議に引き続き、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会の公開に努めなければならない。

3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第115条の2第1項に規定する公聴会制度及び同条第2項に規定する参考人制度を活用し、必要に応じて町民の意見を聴く機会を設けるものとする。

4 議会は、町民による請願及び陳情等を政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けるよう努めるものとする。

5 議会は、町民、町民団体、NPO等との意見交換の場を多様に設けて、議会及び議員の政策能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。

6 議会は、重要な議案に対する各議員の態度を議会広報で公表するとともに、議会の活動に対して町民の評価が的確になされるよう、情報の公開に努めるものとする。

7 議会は、前各項の規定に関する実効性を高める方策として、全議員の出席のもとに町民若しくは町民の代表に対する議会報告会又は懇談会を年一回以上開催し、議会の説明責任を果たすとともに、町民の意見を聴取して議会の活性化に生かすものとする。

第4章 町長と議会の関係

(町長等と議会及び議員との関係)

第6条 議会及び議員は、町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)との立場及び権能の違いを踏まえ、議会機能を十分に発揮した議会活動を行うことにより、議会審議における町長等との緊張関係の保持に努めなければならない。

2 議員は、町長等が任命する法定外諮問機関及び審議会等の委員に原則として就任しないものとする。

(町長による政策等の形成過程の説明)

第7条 議会は、町長等が提案する重要な政策、計画、事業等(以下「政策等」という。)について、議会審議の水準を高めるため、町長等に対し次に掲げる形成過程の資料の提出及び説明を求めるものとする。

(1) 政策等の発生源

(2) 検討した他の政策案等の内容

(3) 町民参加の実施の有無とその内容

(4) 他の自治体の類似する政策等との比較検討

(5) 総合計画における根拠又は位置づけ

(6) 政策等の実施にかかわる財源措置

(7) 将来にわたる政策等のコスト計算及び費用対効果

(予算及び決算における政策説明資料の提出)

第8条 議会は、予算及び決算の審査に当たり、前条の規定に準じて町長等に対しわかりやすい施策別又は事業別の説明資料の提出を求めるものとする。

(議決事件の拡大)

第9条 議会は、議事機関としての機能強化のため、法第96条第2項の規定により、議決事件の拡大について積極的に活用するものとする。

第5章 議会運営と議会機能の発揮

(通年議会)

第10条 議会は、主体的・機能的な活動を展開するため議会の会期を通年とする。

2 議会の会期を通年とするために必要な事項は、別に定める。

(議会運営)

第11条 議会は、町民の負託と信頼に応えるため地域の実情に即した自主的な議会運営を目指すとともに、円滑かつ効果的な運営に努めなければならない。

2 議員は、円滑かつ効果的な運営を図るため、自ら議会機能の向上に努めるものとする。

(自由討議による合意形成)

第12条 議会は、合議制の役割を十分果たすために、本会議等において、少数意見も尊重しながら合意形成に努め、町民に対する説明責任を果たすものとする。

2 議会は、自由議論に基づき、監視機能と審議機能及び政策形成機能の充実に努めるものとする。

(委員会活動)

第13条 議会は、社会経済情勢等の変化により生じる行政諸課題に迅速に対応するため、委員会の専門性及び特性を生かした運営により、機動力の向上に努めるものとする。

2 議会は、委員会の審査に当たっては、町民に対し積極的に情報公開を行うとともに、町民との意見交換の場を設けるよう努めるものとする。

第6章 議会活性化の推進

(議会活性化推進の取組)

第14条 議会は、議会の活性化に継続的に取り組むものとする。

2 議会は、必要があると認めたときは、議員で構成する議会活性化推進会議を設置するものとする。

3 議会は、必要があると認めたときは、前項の議会活性化推進会議に識見を有する者等を構成委員として加えることができる。

4 議会は、円滑かつ民主的な運営等を推進するため、議会モニター制度を導入することができる。

5 前項の議会モニターに関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議会広報及び広聴の充実)

第15条 議会は、町政に係る重要な情報を、議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努めるものとする。

2 議会は、議会広報紙の発行及び多様な情報通信技術を踏まえ、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

3 議会は、町民の多様な意見及び提案を把握するため、町民アンケート等の広聴活動に努めるものとする。

第7章 議会及び議会事務局の体制整備

(調査研究機関の設置)

第16条 議会は、町政の課題に関する調査研究のため必要に応じて識見を有する者等で構成する調査研究機関を設置することができる。

2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査研究機関に議員を構成員として加えることができる。

3 第1項の調査研究機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議員研修の充実強化)

第17条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家及び町民等との研修会を開催することができる。

(議会図書室の充実活用)

第18条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の図書等の充実と機能強化に努め、その有効活用を図るものとする。

(議会事務局の体制整備)

第19条 議会は、議員の政策形成及び立案能力を高めるとともに、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るものとする。

2 議長は、前項の充実強化のため、専門的な知識経験を有する職員の配置に努めるとともに、職員の専門的な能力の養成を行うものとする。

第8章 議員の身分・待遇及び政治倫理

(議員定数)

第20条 議員定数は、別に条例で定める。

2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状及び課題並びに将来の予測と展望を十分考慮するとともに、町民の意見等総合的な観点から決定する。

3 議員定数を議会が改正する場合は、明確な改正理由を付して委員会又は議員が提案するものとする。

(議員報酬)

第21条 議員報酬は、別に条例で定める。

2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状及び課題並びに将来の予測と展望を十分考慮するとともに、町民の意見等総合的な観点から決定する。

3 議員報酬を議会が改正する場合は、明確な改正理由を付して委員会又は議員が提案するものとする。

(議員の政治倫理)

第22条 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

第9章 最高規範性及び見直し手続

(最高規範性)

第23条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則、規程等を制定し、又は改廃してはならない。

(議会及び議員の責務)

第24条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。

(見直し手続)

第25条 議会は、常に町民の意見及び社会経済情勢等の変化を勘案し、この条例の目的が達成されているかどうか評価及び検討を行い、必要に応じて適切な措置を講ずるものとする。

2 議会は、この条例を改正するに当たっては、議員全員が賛同する場合であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は、平成28年8月1日から施行する。ただし、第6条第2項の規定は、平成29年4月1日から施行する。

かつらぎ町議会基本条例

平成28年6月23日 条例第28号

(平成29年4月1日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成28年6月23日 条例第28号