○かつらぎ町議会基本条例

令和7年1月14日

条例第1号

かつらぎ町議会基本条例(平成28年かつらぎ町条例第28号)の全部を改正する。

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 議会・議員の活動原則(第3条―第7条)

第3章 住民と議会の関係(第8条)

第4章 町長と議会の関係(第9条―第13条)

第5章 議会活性化の推進(第14条・第15条)

第6章 議会の防災活動等(第16条)

第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第17条―第20条)

第8章 議員の身分・待遇及び政治倫理(第21条―第23条)

第9章 最高規範性及び研修(第24条・第25条)

第10章 条例の検証及び改正(第26条)

附則

地方自治体は、団体自治と住民自治という地方自治の本旨に基づき、住民の福祉の増進を目的として設置されている。かつらぎ町議会(以下「議会」という。)は、かつらぎ町(以下「町」という。)の主人公は住民であるという認識を貫いて、この目的の実現と地域における民主主義の発展のために取り組むことを宣言する。

かつらぎ町議会議員(以下「議員」という。)とかつらぎ町長(以下「町長」という。)は、ともに直接住民による選挙によって選ばれ、ともに住民に対する責任を負っている。二元代表制により町長と議会は対等平等であり、互いに緊張を保ちつつ協力し合うことが求められる。町長と議会は、住民の信託に応え、住民の代表として多様な住民の意思を議会に生かし、町の最良の意思決定を行う共通の使命を担っている。

議会は、通年議会のもと住民に開かれた議会になっているかという観点で情報公開を推進し、議員間の自由討議を重視し、合議制の仕組みが発展するよう努める。また議会の政策活動への住民参加を推進する。

議会は、諸議案に対し、住民の立場からチェックし論点や争点、問題点などを明らかにしつつ改善点を提案している。行政監視機能と呼ばれるこれらの役割を果たすことは、議会の第一の使命であり、行政の仕事を発展させる大きな力になる。また、議会は、住民の代表として、よりよい意思決定を実現するため、議案の提出や修正などを通じ、政策立案能力を発揮すること又は、これからのまちづくりの在り方を展望して、政策提言を形にすることが求められる。これらの議会活動を実現するためには、議会活動を支える体制の整備や議会及び議員による調査や研究の充実も必要になる。

議会は、日本国憲法と地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)を遵守しながら、上記の諸点について独自の議会運営ルールを策定し、住民とともに歩む議会を築くことを決意し、本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、地方分権の時代における議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会運営の基本的事項を定めることにより、住民参加を基本とする開かれた議会を実現し、住民の福祉の増進を図り、町のまちづくりに貢献することを目的とする。

(議会の役割)

第2条 議会は、住民を代表する公選の議員をもって構成され、行政運営に対する監視及び政策立案を行い、住民の民意を反映する議事機関としての責務を果たすものとする。議員は、二元代表制により町長と議会が対等平等の関係にあることを自覚し、議会の責務を果たすよう研鑽に努めるものとする。

第2章 議会・議員の活動原則

(通年議会)

第3条 議会は、必要に応じて会議を開催し十分な審議を保障するために、かつらぎ町議会定例会条例(令和7年かつらぎ町条例第2号)の規定により、会期を通年とする。

2 議会の会期を通年とすることによって生じる事務については、かつらぎ町議会通年議会事務要綱(平成25年かつらぎ町議会訓令第2号)の規定による。

(議会の活動原則)

第4条 議会は、住民に主権があることを自覚し、住民の代表機関として、公正性、透明性及び信頼性を重んじた議会を目指し、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議会は、行政運営の監視及び政策立案を行う機関であることを自覚し、審議及び議員間の協議に必要な会議期間を設けなければならない。

(2) 住民本位の適正な行政運営が行われているか、監視、批判及び評価を行う。

(3) 住民の多様な意見を把握し、町政に反映させるため、議案の修正、条例の提出等の政策立案及び政策提言を行う。

2 議会は、法第115条の2第1項に規定する公聴会制度及び同条第2項に規定する参考人制度を活用し、意見を聴く機会を設けるよう努める。

3 議会は、議長及び副議長の選挙にあっては、かつらぎ町議会会議規則(昭和62年かつらぎ町議会規則第1号。以下「会議規則」という。)第61条第2項の規定により、それぞれの職を志願する者に対し所信を述べる機会を与えることができる。

4 議会は、議案の十分な審査を保障するため、必要に応じて委員会付託を行う。委員会に付託すべき議案の判断は、議会運営委員会が行い、議長が会議に諮る。

5 予算案及び決算案の審査のために、特別委員会を設置すべきと判断したときは、会議に提案されたことを受けて、議員の過半数を下回る委員を互選し、委員会を構成する。

(委員会の活動原則)

第5条 委員会は、議会の内部組織であることを自覚し、会議によって付託された議案及び請願・陳情の審議を行うとともに、所管事務等の調査によって、政策立案及び政策提案の充実を図るよう努める。

2 委員会は、請願・陳情を住民からの政策提案として位置付け、請願においては紹介議員の説明を求めることができる。

3 委員会は、付託された議案及び請願・陳情の審議については、必要に応じて前条第2項の規定を活用する。

4 委員会は、所管事務等の調査については、会議規則第77条第3項の規定により行う。

(議員の活動原則)

第6条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議会が議論の場であるとともに合議制の機関であることを踏まえ、議員間の自由討議を重んじなければならない。

(2) 行政運営の課題について、住民の多様な意見を把握するとともに、自己研鑽や資質向上に努め、住民の代表であることを自覚し活動に努めなければならない。

(3) 住民全体の奉仕者として、福祉の増進を目指した活動に努めなければならない。

(自由討議による合意形成)

第7条 議会は、議員による討論の場であることを認識し、前条第1号に規定する自由な討議の機会を設けるものとし、会議規則第56条第60条及び第71条の規定に基づき、これを実施するものとする。

2 議会は、自由な討議において積極的な議論を尽くすとともに、あわせて住民に対する説明責任を果たさなければならない。

3 議員は、自由な討議の結果としての議会の統一した意思決定に向けて、合意形成に努めるものとする。

第3章 住民と議会の関係

(情報公開と住民参加)

第8条 議会は、活動に関する情報公開及び住民との情報共有を推進しつつ、住民に対する説明責任を果たすとともに、議会活動に住民の意見を反映させるため、住民参加の機会を設けるよう努めなければならない。

(1) 議会は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を原則公開する。

(2) 開かれた議会運営のため、傍聴人に対し、議案及び議案の審議に用いる資料等の配布又は閲覧を行い、住民が常に閲覧及び取得できるよう、議会ホームページに公開する。

2 会議及び各委員会は、会期中又は閉会中を問わず、住民との意見交換ができるよう一般会議を開催することができる。

3 議会は、議案等に対する議決の結果、議員の賛否等を公表するとともに、議会の活動に対して住民の評価が的確になされるよう、情報の公開に努めるものとする。

4 議会は、前各項の規定に関する実効性を高めるために、住民、各種団体、NPO法人等に対する議会報告会又は懇談会を年一回以上開催し、議会の説明責任を果たすとともに、住民の意見を聴取して議会の活性化に生かすよう努める。

第4章 町長と議会の関係

(町長等と議会及び議員との関係)

第9条 議会及び議員は、町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)との立場及び権能の違いを踏まえ、議会が議事機関であることを自覚し、議会活動を行わなければならない。

2 議員は、町長等が任命する法定外諮問機関及び審議会等の委員に原則として就任しない。

(質疑等に対する詳細説明)

第10条 会議及び委員会に出席した町長その他説明員は、議員又は委員の質疑又は質問に対し、議長又は委員長の許可を得て、詳しい説明を求めることができる。

2 詳しい説明の求めについての規定は、会議においては会議規則第65条に、委員会においては会議規則第72条によるものとする。

(町長による政策等の形成過程の説明)

第11条 議会は、町長等が提案する重要な政策、計画、事業等(以下「政策等」という。)について、議会審議の水準を高めるため、町長その他説明員に対し次に掲げる形成過程の資料の提出及び説明を求めるものとする。

(1) 政策等の発生源

(2) 検討した他の政策案等の内容

(3) 住民参加の実施の有無とその内容

(4) 他の自治体の類似する政策等との比較検討

(5) 総合計画における根拠又は位置づけ

(6) 政策等の実施にかかわる財源措置

(7) 将来にわたる政策等のコスト計算及び費用対効果

2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、それらの政策等の水準を高める観点から、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算及び決算における政策説明資料の提出)

第12条 議会は、予算及び決算の審査に当たり、前条第1項各号の規定に準じて町長等に対しわかりやすい施策別又は事業別の説明資料の提出を求めるものとする。

(法第96条第2項の議決事項)

第13条 法第96条第2項の規定に基づく議会の議決事項は、法第96条第2項の規定により議会の議決すべきものを定める条例(平成24年条例第21号)によるものとする。

第5章 議会活性化の推進

(議会活性化推進の取組)

第14条 議会は、議会の活性化に継続的に取り組むものとする。

2 議会は、必要があると認めたときは、議員で構成する議会活性化推進会議を設置するものとする。

3 議会は、必要があると認めたときは、前項の議会活性化推進会議に識見を有する者等を構成委員として加えることができる。

4 議会は、円滑かつ民主的な運営等を推進するため、議会モニター制度を導入することができる。

5 前項の議会モニターに関し必要な事項は、議長が別に定める。

(広聴及び広報の充実)

第15条 議会は、町政及び議会に係る情報を住民に伝えるため、広聴と広報に努める。

2 議会は、多様な意見等を把握するため、住民アンケート等の広聴活動に努めなければならない。

3 議会は、多様な情報通信技術を活用し議会情報を公開するとともに、広報紙の発行を行い、住民との情報共有に努めなければならない。

第6章 議会の防災活動等

(議会の防災活動等)

第16条 議員は、本町地域において災害等が発生した際は、議会の計画に基づき、自己や家族の安全確保の後、支援活動等を行うよう努めるものとする。

2 防災活動等に関する計画は、議長が別に定める。

第7章 議会及び議会事務局の体制整備

(調査研究機関の設置)

第17条 議会は、町政の課題に関する調査研究のため必要に応じて識見を有する者等で構成する調査研究機関を設置することができる。

2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査研究機関に議員を構成員として加えることができる。

3 第1項の調査研究機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議員研修の充実強化)

第18条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家及び住民等との研修会を開催することができる。

(議会図書室の充実活用)

第19条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の図書等の充実と機能強化に努め、その有効活用を図る。

(議会事務局の体制整備)

第20条 議会は、議員の政策形成及び立案能力を高めるとともに、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るものとする。

2 議長は、前項の充実強化のため、専門的な知識経験を有する職員の配置に努めるとともに、職員の専門的な能力の養成に努める。

3 議員及び委員会が、条例案、条例の修正案、予算の修正案等を議会に提出しようとする場合は、実務上の誤りが生じないよう町長等との協議を行うものとする。

第8章 議員の身分・待遇及び政治倫理

2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状及び課題並びに将来の予測と展望を十分考慮するとともに、住民の意見等総合的な観点から決定する。

3 議員定数を議会が改正する場合は、明確な改正理由を付して委員会又は議員が提案する。

2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状及び課題並びに将来の予測と展望を十分考慮するとともに、住民の意見等総合的な観点から決定する。

3 議員報酬を議会が改正する場合は、明確な改正理由を付して委員会又は議員が提案するものとする。

(議員の政治倫理)

第23条 議員は、住民の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を行使することによって、住民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

第9章 最高規範性及び研修

(最高規範性)

第24条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則、規程等を制定し、又は改廃してはならない。

2 議会及び議員は、この条例が最高規範であることを自覚し、この条例を遵守して議会を運営し又は議員の活動を行わなければならない。

(条例に関する研修)

第25条 議会は、この条例の理念を議員間で共有するために、一般選挙又は補欠選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例に関する研修を行わなければならない。

第10章 条例の検証及び改正

(検証及び改正)

第26条 議会は、常に住民の意見及び社会経済情勢等の変化を勘案し、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検証する。

2 議会は、前項による検証の結果に基づき、この条例の改正等の措置を講ずる。

3 議会は、前項の改正に伴い、他の条例等に改正すべき事由が生じた場合は、必要な措置を講じなければならない。

4 議会は、この条例を改正するに当たっては、議員全員が賛同する場合であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は、公布の日から施行する。

かつらぎ町議会基本条例

令和7年1月14日 条例第1号

(令和7年1月14日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
令和7年1月14日 条例第1号